重力ピエロ 伊坂幸太郎

小説

こんな人にオススメ

読みやすさ3.9
面白さ4.1
満足度4.0
学生へのオススメ度4.2
総合評価4.1
 文庫本で総ページが496ページあるので、少し長いと思われる方がいるかもしれません。そのため、読みやすさは星3.9にしましたが、スラスラと読める内容になっています。遺伝子やジェンダーの話が主題となるため、高校生以上の方であれば、十分に楽しめる内容になっていると思いました。

あらすじ

 この作品は「春が二階から落ちてきた」という印象的な一節から始まる。この春というのは、四季の春ではない。つまり、冒頭の一節は、季節の移ろいを示す風変わりな表現などではない。春は、主人公の泉水の二つ下の弟とのことであり、冒頭の一節は、文字通り人が二階から落ちてきたのである。

 物語はこの兄弟を中心に進んでいく。円満な家庭で育った彼らだが、2人の間には完全な血のつながりはない。なぜなら彼らの母親はレイプされて、身籠り、弟の春を産む決断をしたからだった。この辛い出来事は、家族の記憶に残り続け、彼らの人生に大きな意味をもたらした。

 長い年月を経て、泉水と春が大人になった時に事件は起きる。連続放火事件と、その放火現場近くに描かれる謎のグラフイックアート(いわゆるスプレー缶で描かれる街中の落書き)が出現する。このグラフイックアートに、ある規則性を見出す。その鍵となるのは遺伝子!!

この遺伝子にはどういった意味があるのか。腹違いというDNAが異なる2人の兄弟は「遺伝子」とどう向き合っていくのか。遺伝子のように複雑で、もつれた謎が徐々に明らかになっていく。その衝撃の真相とは一体‥

作品をより一層楽しく読むためのポイント

  • 遺伝子がキーワードの小説で、なぜタイトルが「重力ピエロ」なのか
  • 事件の犯人は誰なのか
  • 血縁と差別の関係性

おわりに

 本書のクライマックスで次々と回収されされていく伏線に感動しました。私は犯人の予想が当たってしまったので、いわゆる「どんでん返し」のようなものは味わえませんでした。しかし、作中に散りばめられた伏線によって、もたらされた”モヤモヤ”はスッキリしたので、その快感を楽しむことはできました。映画を鑑賞した後のような満足感を味わうことができました。

 私が本書の中で特に好きだったセリフを紹介します。それは、主人公の父のセリフでした。

「人生というのは川みたいなものだから、何をやってようと流されていくんだ安定とか不安定なんていうのは、大きな川の流れの中では些細なことなんだ。向かっていく方向に大差がないのなら、好きにすればいい。」

このセリフは、話の本筋にそれほど深く関わるものではないですが、私にとっては感銘を受けるものでした。私は優柔不断である側面があり、よく考えすぎてしまうことがあります。ですが、今の自分の目の前にある選択が、川の方向性を変えるほどの大きな選択なのかと自身に問いかけると意外とスムーズに答えが出ます。「NO!」だと。そうすると物事を決定する際に楽に決められるようになりました。

自分語りが過ぎてしまいました。すいません。これもまた読書の醍醐味の一つなので、ついつい笑

皆さんも素敵なフレーズに出会うという観点から、読書をすると楽しみが増えるかもしれませんね。

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