ジブリアニメで哲学する 小川仁志

哲学
読みやすさ5.0
面白さ4.2
満足度3.8
学生へのおすすめ度4.2
総合評価4.1
 文庫本では、見開き2ページで1つの小さな節になっているため、非常に読みやすいです。また、観たことのあるジブリ作品が題材に扱われているため、読書が苦手な方にもオススメできる本だと思います。哲学と聞くと「難しそう」と身構えてしまう方でもスラスラ読めます!(実際、私自身も哲学はあまり得意ではありません…)

あらすじ

 ジブリ作品を鑑賞した後に、感動ともに押し寄せる謎の「モヤモヤ」を抱くことはありませんか?「あれって結局何だったの?」って…

 本書は、そのような「モヤモヤ」の秘密を教えてくれます。宮崎駿監督が「何を描写したかったのか」、「どんなメッセージを送りたかったのか」、その答えの中の1つを見つけられます。例えば、以下のような質問があります。

  • 『となりのトトロ』では、なぜ前でも後ろでもなく、「となり」なのか。
  • 魔女の宅急便では、なぜ主人公のキキは宅急便という仕事を選んだのか。

「確かに、それ疑問に思ってた!」という方も中に入るかもしれませんが、「え、そんなこと考えたことないわ」という方も多くいらっしゃると思います。おそらく、疑問に思っていた方の多くは、すでに本書を手に取っているかもしれませんね。一方で、そのような考え方をせず、あらすじを理解して「楽しかった、面白かった」で終わっている方は、これを機に、本書を読んでみてほしいです。作品のテーマを深掘りすることで、もともと好きな映画がより好きに、あまり好きじゃなかった映画の本質も見えてくるかもしれません。あなたなりの答えを見つけてみませんか?

作品をより一層楽しく読むためのポイント

  • あくまで、答えの1つであるというスタンスを忘れないこと(あなたの映画の解釈を否定するものではありません)
  • 哲学の思考のプロセスを理解すること
  • 実際に、あなたが好きな映画を見るときに、自分なら「こう考える」と思考を巡らせること

おわりに

 本書を読むにあたって重要なことは、あくまでも答えの一つの提示であるということです。ジブリアニメを読み、ある描写からあなた自身が感じたことに完全な正解はありません。そのため、自分なりの答えを見つけ出すのが目標です。しかし、そんなこといきなり言われても難しいと多くの方が感じると思います。そこで本書を読み、映像作品からどうやって本質を読み取るのかという思考を学べる書籍になっています。

 本書を読むとジブリアニメに限らず、いつもと違った視点で映像作品を見られるようになると思います。それぞれの監督には、その作品を通して、伝えたい、メッセージが存在します。映画を観て、「面白かった」と思う感情の裏側を追求するきっかけ、追求するという選択肢を与えてくれるきっかけになります。

 哲学と聞くと、小難しく、眠たくなるというような人にこそ必見の新感覚の哲学入門書になっていました。強いてデメリットを挙げるなら、ジブリを見たことがないという方は、面白さが半減してしますことですね。。映画のあらすじも本書には記載されているので十分に楽しめますが、観ていない作品は鑑賞してからの方が、面白く読めるかもしれませんね。

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