I アイ(西加奈子)あらすじと感想

読みやすさ4.1
 面白さ4.2
満足度4.5
学生へのおすすめ度4.8
総合評価4.3
文庫版では総ページ数323ページと標準的であり、登場人物の数も比較的少ないため読みやすい作品のように感じました.
また、主人公のワイルド曽田アイの高校や大学の日常生活が描かれているので、学生の方に非常に読みやすい本です。

あらすじ

「この世界にアイは存在しません」

高校の入学式の翌日、数学教師は言った。その言葉に衝撃を受けたのは主人公のワイルド曽田アイ。彼女は特殊な境遇により内向的だった。そして、この言葉は、彼女の心に残り続けた。

彼女の人生に多大な影響を与えたのは同級生の権田三奈だった。何気ない会話をきっかけに親友になった彼女達だが、お互いに隠し事があった… いったいその秘密とは……

果たして「この世界にアイは存在するのか」

いったいアイとは何なのか……!

作品を一層楽しむためのポイント

  1. タイトル「I」に隠された複数の意味
  2. 自分自身の血縁
  3. 生きること、そして死ぬこととは一体どういう意味を持つのか

おわりに

 人種問題、ジェンダー問題、貧富問題、さまざまな社会問題を取り扱っている当作品。読み進めていくと、なぜ自分は生きているのか、どうして自分は選ばれたのか、「血」は自分自身にどんな影響を及ぼすのかなどと、疑問が沸々と湧き出てきます。また、アメリカ同時多発テロやシリア内戦、東日本大震災など、この現代の世界で起こってきたこと、起きていることを題材にしている当作品では、実際に主人公のワイルド曽田アイや友人の権田三奈などの登場人物が、この現実世界に生きているのではないかと思わされました。そのような想像を膨らませながら、今生きている自分の境遇について客観的に考えを巡らし、自身を見つめ直すことができる作品でした。

 そして、タイトルのI(アイ)には複数の意味が隠されています。その意味を、ぜひ自分自身で解釈し、噛み砕きながら理解してほしいです。物語のおわりには、作者の西加奈子さんと、芸人で小説家の又吉直樹さんの対談も書かれています。そこで、作者はどのような考えのもとで当作品の描いたのか、登場人物の名前の決め方などを綴っています。自身の予想と照らし合わせながら読んでみてください。

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